SIG@Hatena blog

科学系ブログSIGのこれまでの記事をもう一度見返し、色々繋げて紹介します!何か新しい発見があるといいな。

色々役立つ微生物たちの遺伝子組換え技術添え。

今回はSIGで最初に取り上げた話題の関連でいきましょう。

SIGが始まった一番最初の記事は、微生物を使って薬を作るという記事でした。

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やはりバイオ屋さんなひろやんなわけで、最初の記事はバイオ関連ですね〜

この記事を書いた時も、そして今でもバイオテクノロジーに関して、ちょっと社会の流れを変えたいなという思いがあったりします。

 

微生物と遺伝子組換え

現在、バイオ研究者にとっては遺伝子組換えは日常的に行う実験なわけで、ものすごく危険だという意識はないわけです。

もちろんエボラウイルスを扱うとか、毒を作る微生物に遺伝子操作するとかの実験であれば、めっちゃ危ないです。

ちなみにどちらもやっているわけではないですよ。

そういった危ない実験をやるには専用の施設だったり、国の許可がいるので、おいそれとできません。

普段、行っている遺伝子操作においても、どんな遺伝子をどんな生物に入れるとか、ゴミは滅菌して捨てるだとか、実験室から出るときは手を洗うだとか、色々な作法は存在します。

ということで簡単には外には漏れないようにやっているわけです。

それはいいとして、例えば甘いトマトが遺伝子組換えでできました!とか病害虫や寒さに強い稲ができました!なんて発表があると、遺伝子組換えなんてけしからん!そんなもの食えるか!という声が出てきます。

そして食品のパッケージには、「遺伝子組換え作物は使用しておりません」なんてデカデカと書かれるわけです。

バイオ研究者の私にとっては「なんだこれ?」って感じです。

 

もちろん必要な手順は踏むべき

一番不思議に感じるのは、交配させてできた新しい作物や紫外線を浴びせて突然変異を起こさせた植物においては、「自然でできたものだし、安全だね!」と言っておきながら、遺伝子組換えになると「これは危ない!」という風潮。

遺伝子組み換えの方が目的の遺伝子のみを入れて、性質を変えることができるのでよっぼど安全じゃないかなと。

自然でできたものって、本当に何が起こっているか分からないもんですよ?

本当にそれって安心、安全なものだと思います?

イメージだけで決めつけることほど、怖いものはないと思いますけどね。

そういうとバイオの実験やっているから、私の遺伝子組換えって安全だという考えも完全にイメージです。

じゃあどうするか?イメージではなく、データを出して、いいものなら堂々と使いましょうよ!

医薬品でも食品添加物でも人間の身体に入る可能性のあるものは安全性試験を行って、安全だね(本当は安全”そう”だねってところですが)となったら、使ってよし!ということになります。

それこそこれはなんちゃら規格の安全性試験をパスしてますマークをつければいいわけです。

遺伝子組換え作物を使っていません(入っていても5%以下保証)なんて表示よりよっぽどいいんではないかな?

ちなみに表示義務も結構抜け道があるみたいで、本当に遺伝子組換え作物からできた製品を食べていないなんて言える人はいません。

詳しくは下のサイトを見てもらえると分かるかと思います。

gmo.luna-organic.org

foodog.jp

 

SIGでできるのは、イメージ戦略?

イメージで決めつけちゃいかんと言っておきながら、SIGではイメージ戦略をしてみます。

でも「遺伝子組み換え技術を使ったらバラ色の世界が!」なんていうつもりはありません。

「遺伝子組換え技術を使ったら、こういうこともできそうだよ!」ということが少しでも広められて、「遺伝子組換えって悪じゃないよね!」となってくれればいいなと思います。

そして世に出てきたときに、知識をもって、これは安全そうだ、これは危険そうだと判断していただきたいなと。

 

やっぱり薬関係?

最初に紹介した微生物で作る薬。

彼らの研究室ではさらに発展させて、遺伝子組換えした微生物を持ち運ぶのではなく、微生物の抽出液を凍結乾燥して、必要なときに水を加えるだけで薬を作るシステムまで開発を進めています。

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そして同じように微生物で薬を作っている研究チームがMITにもう一つ。

先ほどのチームは大腸菌を使っていますが、こちらのチームは酵母を使っています。

どちらも現在のバイオ研究になくてはならない、そして遺伝子組換え技術が発達している微生物なのです。

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日本も頑張っていますよ!

クラウドファンディングサイト「academist」であったのは、カイコを使って病気の治療薬を作ろうという研究。

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日本では明治時代に絹糸生産が大きな産業になっていたので、カイコを扱うのは上手。

それで結構カイコを実験に使う研究者も多かったりします。

こうやって色々な生物を使う理由は、やっぱりそれぞれ得手不得手があるわけです。

大腸菌はたくさんのタンパク質を作るのは得意なのですが、タンパク質が複雑になればなるほど、うまく作ってくれません。

ヒトのタンパク質を作るのには、ヒトの細胞を使うのが一番なのですが、ヒトの細胞はあまりタンパク質を作ってくれないので、価格がぐっと上がってしまいます。

酵母やカイコはその中間かな。

必要なものを作るため、こうやって生物を選ぶことも重要な研究ポイントだったりします。

 

次世代エネルギー「バイオエタノール」!

石油や天然ガスは有限だから、いつかは枯渇するといわれています。

そこで自分たちで作り出せるエネルギーはないだろうかと研究が進められているものの一つがバイオエタノール

簡単に言うと、お酒を作って飲むんじゃなくて、その中に含まれるエタノールをエネルギーとして使おうよと言うわけ。

お酒だったら、好きな人は多少高くても買うけど、エネルギーとして使うとなると話は別。

飲むのとエネルギーとして使うのを比べると量だって、桁違い。

そこで遺伝子組換え技術を使って、もっと大量に、もっと素早くエタノールを作る生物を作ろうって研究が進められています。

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あとは微生物が汚染されないような仕組みを遺伝子組換えで作っちゃおうという試みも。

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高付加価値物質を作る?

バイオエタノールは現在、技術的にできることはお酒で証明されているので、完全にコストとの勝負になってきます。

でも同じように物質を作るのなら、もっと高いもの作ればいいじゃん!って考える研究者ももちろんいるわけです。

MITからスピンオフしたベンチャーでは、香り成分を作ろうと頑張っています。

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香りは香水や化粧品、食品など色々使われていますが、植物を育て、香りを抽出して、というのは長い年月がかかり、コストが高いわけです。

だから製品も高くなっちゃうということ。

だったら遺伝子組換え生物で大量に作れれば、価格も下がるし、季節も関係なくなるし、うれしいんじゃないかなということですね。

 

他にも面白い研究は?

こうやって遺伝子をいじくり、新しい生物を作り出す学問を合成生物学と言います。

実はこの分野、学生の世界大会が開かれるほど、活発な研究分野なんです。

その世界大会の名はiGEM!

日本からもたくさんの学生が挑戦していますが、SIGで取り上げたのは東京大学のチーム。

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世代が変わると、色が変わる微生物を作って、大会会場があるボストンに乗り込むための費用をクラウドファンディングで募っていました。

 

未来はどうなる?

こうやって遺伝子組換え技術が発達すると未来はどうなるんでしょう?

私はそのうち家庭に入っていったら、面白いななんて思います。

例えば洗剤にも酵素が含まれていますが、洗濯機に服を入れると、自動で汚れを認識して、汚れに合った酵素を遺伝子組換え生物で作って、綺麗にしてくれるとか。

ちょっと料理に香りづけしたいななんてときにもボタン一つで作ってくれる。

もちろん薬やサプリメントはいわずもがなですな。

そうなったら、プリンタのインクなんかもできるだろうし、食品だってできるかもしれない。

そしてバイオエタノールも家で作って、エネルギーもまかなっちゃう!

買ってくるのは、菌を育てるための成分が入ったタブレットだけ。

そんなバイオに包まれた社会もありだと思いませんか?